IELTS(アイエルツ)はイギリス圏の大学や大学院留学を目指す方向けの英語力評価テストです。アメリカ圏でいうTOEFLのようなアカデミックな試験です。
英語の試験といえばまずはTOEICが頭に浮かんでくると思いますが、IELTSがどういったものなのか、見ていきましょう!
目次
IELTS試験とは?
世界で年間250万人以上の受験者数を誇る英語力を測る試験。リスニング・リーディング・ライティング・スピーキング(面接試験)の4パートの試験に分かれています。
世界では140の国にてIELTSが開催されています。日本でも全国の15都市程にて開催されています。運営はケンブリッジ大学英語検定機構、ブリティッシュ・カウンシル、IDP:IELTSオーストラリアの3団体です。(日本では日本英語協定協会とブリティッシュ・カウンシルの運営です)
受験料は25,380円と気軽にホイホイ受けられる回数ではないので、1回を無駄にできない試験です。(ビザに申請するためのIELTS試験は39,090円かも・・!?)
IELTS試験の種類
IELTSには2つのタイプの試験があります。どちらも4技能の英語力を測る試験ですが、リーディングとライティング部分の内容が異なります。英国に滞在するためのビザ取得のためには同じIELTSでも、IELTS for UKVIというタイプのものを受ける必要があるので間違えないように注意が必要です。
- アカデミック・モジュール
英語圏の大学や大学院に行くために英語力の提出が必要な場合に受けるもの。 - ジェネラルトレーニング・モジュール
移住申請をする際に必要なもの。
試験内容詳細と簡単なコツ
IELTSは対策次第で大幅な点数アップが狙えます。
リスニング
約30分。4セクション40問。
最後に別途回答をマークシートに転記する時間が10分あり。
セクション1:日常生活における2人の会話(不動産屋との電話、店員との会話)
セクション2:日常生活におけるモノローグ(ラジオ番組、旅行ガイドの説明など)
セクション3:大学における2人以上の会話(学生同士の授業に関する会話、教授と生徒達の会話や指導)
セクション4:アカデミックな内容のモノローグ(教授による講義や講演など)
気をつけるポイント
- 音声は1回しか聞けません。
- リスニングはずっと続けて4つのセクションまで進みます。集中力を鍛えるのも大事です。
- 質問を読むための時間が20~30秒ほどありますが、設題によっては足りません。パート1音声の一番最初に例題の説明的なものが入りますが、聞く必要はありません。この時間も使って事前に質問に全て目を通します!これが一番大事です!
- 答えは全て問題順に出てくるので、流れを把握できます。(ある意味親切)
- 答えとして記述する単語が複数形か単数形かも要確認!複数の時にSを忘れずに。
- 答えとして記述する単語が形容詞、動詞かなども確認が大事。ヒントになります。
- 答えは問題順のため、聞き逃したと思っても焦らずに先に進んで下さい!
- 答えが連続して来る可能性もあるので、メモを取りながらも耳をすませること。
- 語数制限がある問題に気をつける!ONE WORD ONLY や NO MORE THAN TWO WORDSなど。
- 数字を言った後に、あ、違ったわと正しいものを言い直すこともあるので身構えること。
- ブリティッシュイングリッシュ、アメリカ、オーストラリアと様々な発音があるので惑わされないように。
- スペルミスで点数を落とすのは勿体無いので気をつける。
- セクション1から4になるにつれて難しくなっていきます。最初にいかに点数をかせげるかがポイント!
- 質問文と同じ単語を使わずにシノニム(同義語)で答えてくることが多いので質問を読んだら一緒に頭の中で単語をイメージしておくことが大事。
- 質問文と同じ単語が実はワナであることも多い。
リーディング
60分。長文が3つ、全40問。内容は本、雑誌、新聞やアカデミックな専門誌。
気をつけるポイント
- 時間配分は自分次第ですが、約20分で1つの問題を解いていくのがおすすめ。基本的には1番最初の長文が1番難易度も低く、段々難しくなります。
- 長文を3つ続けて集中して読むという慣れも大事です。
- 答えを最後に解答用紙に転写する時間は設けられていないので、解答用紙に即書いていった方が無駄時間がなくてよい。
- 設問はYES/NO/NOT GIVEN なのか TRUE/FALSE/NOT GIVENなのか間違えないように。いつもの癖でTやNだけ書いても不正解なので気をつける。
- 上記の設問は絶対に根拠となる文章がありますが、NOT GIVENが紛らわしいので注意。
- 質問文と同じ単語を使わずにシノニム(同義語)になっていることが多いです。
ライティング
60分でタスクは2つ。
タスク1:棒グラフ、円グラフ、テーブルなどが提示され、表を分析して150字にまとめる課題。運が悪いとよくわからない図解や地図のことも・・・
タスク2:トピックと質問がまず与えられます。その内容について自身の意見を論理的に250字でまとめる。
気をつけるポイント
- 文字数がわかるように1行何文字くらいで書くと決めて書き出すこと。
- 文字数が足りないと減点になってしまって勿体無いので規定文字数は超えること。
- タスク2の方が配点が高いのでタスク1で悩みすぎないこと!
- まずはすぐに書き出す前に、構成のメモを取ることが大事。
タスク1
- 表を見たことがない人にその特徴を簡単に説明するとしたら、という風に考えて臨むと良いかもしれません。表の中から特徴的な変化や増減のあるポイントをいくつか取り上げて説明します。
- 比較級など盛り込みましょう。
- そのグラフの時制に注意!過去のものなのか、未来なのかによって利用する文法が変わってきます。
- 同じ単語の繰り返しを避けるため、増加する、減少するといった動きを表す単語も、何種類か違う表現で書けるようにしておきましょう。
- パラグラフ3つで書いておけば安心です。イントロとして表が何を表しているものなのか説明を書きます。特徴的なポイントを2つ3つ他と比較して書きます。コンクルージョンで表の傾向などを述べて終わります。
- 自分のグラフに対する意見は書かないように。
タスク2
- 問題のトピックに沿って回答を書くことが大事、トピックを正しく理解しているか確認。
- I thinkなどのIを使った文章は口語っぽくアカデミックでないので控える。
- don't など短縮形はアカデミックではないのでdo notにすること。文字数も稼げる。
- リンキングワードを使う!
- 繰り返し同じ単語を使わないようにバリエーションを持つこと。
- 具体的な例を盛り込み、論理的に述べることを忘れずに。
- 1つの段落内では、まず1番言いたい大事なことを書き、その後具体例などで固めるという風にすると楽です。段落内で筋が通っていることが大事です。
- パラグラフは4つで大丈夫です。イントロで本題に入る前の導入を書きます。次の2,3段落でトピックについて賛成や反対意見を述べたり、解決方法を論理的に段階を追って説明。ラストのコンクルージョン部分で今までのまとめを書いて、自身の意見を述べて終わります。
スピーキング
11~14分。3パートに分かれています。
着席し、1対1で面接官と会話をします。声は録音されます。
パート1:自己紹介、家族、友人、出身地、休暇の過ごし方、趣味など日常的な質問。
パート2:トピックと、回答すべき質問(When,Where,Who,What等)が指示された紙を渡されます。1分で話す内容を考えて、2分間スピーチを行い、その後面接官よりその内容に付随した質問が2つほどあります。
パート3:先程のトピックに関連した内容の社会的な、もしくは抽象的な、結構答えに困るような質問でディスカッションを行う。
気をつけるポイント
- 相手の目を見て、しっかりと会話することが大事。
- わからない場合はもう一度お願いしますと言ってOK。
パート1
- 回答は短すぎず、長すぎず、常に2文くらいになるように。例えば「どこから来たの?」という質問でも「日本の東京から来ました。」と一言で終わるのではなく、東京の位置している場所や、日本の首都で大体人口は何人で〜といった事を付け加えて1つ1つの会話を膨らませることが大事!長ければ面接官が遮るのでOK。
パート2
- 準備時間は1分しかないので、質問と答え、具体例を箇条書きする程度。
- 1分30秒〜2分ほどは話した方が良い。短すぎると減点!
- 同じ単語の繰り返しは避けること。出来れば簡単な単語よりは、IELTSっぽいアカデミックな単語を混ぜるとよい。
- 聞く面接官が情景をイメージできるように、五感に訴えるような(風景、色、香り、気温、味などなど)単語を織り交ぜると良い。
- 人によってはジョークを入れて面接官を楽しませるのも手というけれどややハード。
- はじめての人との会話を楽しもうという気持ちで望んだ方がよい。
パート3
- なかなかすぐに答えられないような想定外の質問が来た場合は「えっと。。」「ん〜」と考え込まず、「Ohhh....Let me think...」や「I have never thought about this question...」とゆっくり言いながら考える時間を稼ぐべし!
- 質問にまずまっすぐ答えて、なぜなら〜と展開したほうが楽。
- わからない時は、今まで考えたことないですが、私だったらこうです〜といったようにしたり、関連する〜〜については〜〜だと思います。という風に答えてOK。内容ではなく、英語力を測っている試験なので、黙ってしまう方が勿体無い!しゃべったもの勝ち!
- 難しく話そうとすると詰まってしまう場合は、ストレートに簡単な単語でもいいから会話を進めるように。
IELTSの点数
各パートごとに1.0(初心者)〜9.0(ほぼネイティブ)まで0.5点刻みのバンドスコアと呼ばれる点数がつけられます。成績証明書では4技能それぞれのバンドスコアと、全てを加算平均したオーバーオール・バンドスコアが記載されます。
よく大学院の入学要項にもオーバーオール7.0、ライティング6.5以上が望ましいといった文章が書いてありますが、これは平均点が7.0であれば、書きのスコアが6.5でも、スピーキングが仮に6.0でも認めますということです。
IELTS試験日の注意事項
- 本人確認の写真付き身分証明書が必要です。撮影も行われます。
- 試験はリスニング、リーディング、ライティングは全て続けて行われます。お手洗いに行きたくなると困りますから、試験2時間前にあまり飲み物を飲まないように!
- 教室にバッグなどを持ち込むことはできません。荷物置き場に置くことになります。
- 服装:英字などのかかれたパーカーを着ていると裏表で着るように指示されたり、少しゆったりしたジャンパーを着ていると、中に何かカンニングペーパーを仕込んでいるのではと疑われ、脱ぐように催促されます。冬ならぴったり目のカーディガンかトレーナーがおすすめ。
- マークシートなので、黒の鉛筆を持参する必要があります。シャープペンシル不可です。ライティングのためにも、かなり尖った鉛筆を何本も持参しましょう!
- 消しゴムはカバーを外すように支持されます。
- 飲みの物は水のみペットボトルで持ち込めますが、ブランドが書いてあるプラスティックは全て剥がすように支持されます。
- お手洗いはリスニング以外のリーディング、ライティング中は行けます。(しかし試験中でただでさえ時間がない中なのでおすすめはしません)
- 基本的には8時集合、9時から説明、試験開始で、12時過ぎにはライティングまで終わります。スピーキングは同日の午後もしくは別日に受験となります。
IELTS対策に活用した書籍
IELTSの沢山本はTOEICに比べると断然少ないですが、良い対策本も沢山出版されています。こちらに私が実際に利用している本をまとめてみました。はじめてIELTSを勉強する方におすすめのブリティッシュ・カウンシルの公認書籍もあります。